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3月
 
 冬の雪国はあたり一面が白一色の世界になります。この雪に覆われた世界では、雪が形作る様々な造形を楽しむことができます。雪がつくりだす美しい造形のひとつに、「雪まくり」とよばれるものがあります。
 雪まくりとは、雪がまるで巻きもののような形になったものです。その姿から「雪まくら」ともよばれ、米どころとして有名な山形県の庄内地方では、これを「雪俵(ゆきだわら)」とよんで豊作の知らせとしているそうです。
 雪まくりは、強い風などにより雪が転がって巻きが厚くなることで成長していきます。そのため雪まくりの大きさは転がった距離に比例します。この雪まくりが見られやすいのは、日ざしに恵まれたり暖気が流れ込んだりして暖かくなったときです。
 また、ある程度、雪に粘り気が必要とされるため、北陸や東北の日本海側といった、比較的湿った雪の降る場所で現れやすいといえるでしょう。
 また、北海道でも春先の寒さが緩んだ日には見られることがあります。自然は、雪という材料を使って時に雪まくりのような美しい作品を見せてくれる偉大な芸術家ともいえそうですね。
 雪まくりは、固くしまった雪の上に積もったやわらかい新雪を芯にすることで成長していきます。日ざしに恵まれたり暖気が流れ込んだりして気温が0度近くまで上がったときには、新しく降り積もった雪はやわらかく湿っています。
 一方、新雪の下に広がる固くしまった雪は冷たいままなので、表層の湿った新雪は分離しやすく、芯となって成長しやすいのです。
 さらに風の強いときには、木の枝や電線などに積もった雪も落下しやすく、落ちた場所が斜面であれば、それが芯となり自然に転がっていくのです。
 また、下り坂でなくても、風が強く吹くと、芯は風に押されて転がります。こうして雪面の表層にある湿った新雪を巻き取って大きくなったものが雪まくりなのです。
 雪まくりは転がる距離が長いほど成長し、大きいものでは直径が50センチメートル以上、幅も数10センチメートル以上にまで達します。はじめは気にもとまらないほどの小さな雪が、雪面を転がることで人目をひきつける不思議な形へと様変わりするのです。
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